Ronacher劇場で上演中のThe Producersは、2月22日で千秋楽を迎えます。当初は2009年5月までの上演予定だったものの、集客率が73%とふるわず、上演期間短縮となってしまいました。元々The Producersはドイツで先に上演される予定でしたが、歴史的背景の問題からなかなか正式決定せず、結局ドイツ語圏初演の地はウィーンになったという経緯がありました。
ナチスを揶揄した駄作ミュージカル「ヒトラーの春」の上演を巡るドタバタコメディーは、ブロードウェイでは大成功を収めましたが、戦後60年以上経つ今もナチズムの傷跡を克服できないオーストリア人にとっては、娯楽作品として心から楽しむのは難しかったようです。Kurier紙の評者は、自分自身この作品は諷刺物だと頭では分かっていても、ギャグとして受け止めるには限界があり、鶏達の翼に巻かれた鉤十字の腕章を見て笑いが消え、ナチスの制服を着た兵士達が鉤十字の陣形を組んで踊る演出は、行き過ぎだと感じたと述べています。
私自身にとっては、一娯楽作品として十分楽しめる作品でした。Max Bialystock役のCornelius Obonya(Burg Theater ブルク劇場に長年出演していた名俳優)とLeo Bloom役のAndreas Bieber(ウィーン初演版ElisabethのRudolf)の体当たりの演技は、フルマラソンを全速力で疾走するかのような勢い。長身のグラマー美女Ulla役のBettina Mönchのスウェーデン語訛りのドイツ語や、「ヒトラーの春」の作者Franz Liebkind(フランツ・リープキント、「春の目覚め」の作者Frank Wedekind フランク・ヴェーデキントのパロディ)役のHerbert Steinböckのバイエルン訛りは口調を聞いただけでも笑えます。ブロードウェイ最悪の演出家でゲイのRoger de Bris役、Martin Sommerlatteのドレス姿や、その愛人Carmen Ghia役のRob Pelzer(ウィーン版MOZART!のWolfgang Alternierend)の真に迫ったオカマっぷりも、抱腹絶倒ものでした。各出演者をクリックすると、自己紹介と出演場面のクリップにリンクします(現在はアクセス不可)。
1幕のハイライト映像はこちら。
宣伝写真の撮影現場やアンサンブルの練習風景等、The Producers関係映像のプレイリストはこちら(現在はアクセス不可)。
ウィーン版のキャスト・演出・美術はそのままドイツ・Berlin(ベルリン)のAdmiralspalastに引っ越します。上演期間は5月16日から7月18日まで。
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