Michael Kunzeへの5つの質問 Part 1

DramaMusicalsでは、読者からKunze御大への質問を受け付けています。その中から毎月5つを取り上げ、御大自らが答えるという企画が“5 Fragen an Michael Kunze”(Michael Kunzeへの5つの質問)シリーズです。このたびDramaMusicalsの管理者の方から、質疑応答の内容をこのブログに翻訳転載する許可を頂きました。Kunze作品のより良い理解の一助になれば幸いです。

では早速紹介していきましょう。第1回目は2008年2月の5つの質問から。

質問1:自作の映画化についてどう思いますか(例:Tanz der Vampire)?

MK:娯楽映画は全く違うメディアです。ミュージカルを舞台上からスクリーンに移すに当たっては、物語が映画という異なるメディアに相応しい内容であることが、前提条件となります。それ以外にも、監督は既存作品の意図と雰囲気に敬意を払う必要があります。こうした前提条件の下であれば、私は映画化については大いに理解があります。

これまで私のミュージカルについて、様々な問い合わせがありましたが、今のところ十分真剣に考えられるものはありませんでした。ミュージカル”Tanz der Vampire”の原作映画でAlfredを演じたRoman Polanskiは、もしこのミュージカルが映画化されたら、今度はProfessor Abronsiusの役を引き受けてもいいと考えています。しかし具体的な計画は今のところありません。

質問2:Dramamusicalの作品が完成したとき、何が起こるかに興味があります。どうやって相応しい制作者を見つけるのか、また作者として演出やマーケティング等について、どの程度発言権があるのでしょうか?

Dramamusicalが完成すると、私は作曲家と一緒にデモを録音します。またプロのミュージカル俳優による、いわゆるリーディングもよく催します。その際得られた音や写真素材と共に、そのミュージカル作品を相応しい制作者に提供します。制作契約の中には、制作チームや出演者の選択に際し、作者の発言権や拒否権を保証する条項が常に含まれています。もっともマーケティングに関しては、作者の影響力は限られています。とはいえロゴ選びに際しては、基本的に一緒に話し合うことが可能です。

質問3:目下ミュージカル作品を執筆中ですか、それとも構想段階の作品はありますか? あればそれは再び歴史上の素材を扱った作品ですか?

MK:今のところは、Bremen版に向けて、Marie Antoinetteに手を入れるのに、ほぼかかり切りです。その他にも、かなり進捗しているプロジェクトが複数あります。

私の場合、全てが何かしら「歴史的」なところに行き着くのです。執筆中の初めての「陽気な」Dramamusicalでもそうです。次にどの作品が実現するのか、自分でもわくわくしています。

質問4:小説をミュージカル化する際、物語の中で何が本質的だと思いますか(例えばRebeccaのような場合など)?

MK:物語や主役を見つけ出すのは、私自身ではないと考えています。むしろ物語が私を発見するのです。歴史上、あるいは虚構のキャラクターの中には、自分達を舞台へ送り出してくれと私に語りかけているように思えるものがあります。私は非常にしばしば抵抗しますが、強い力を持った者は私を打ち負かします。そして降伏した私は、彼らを舞台に乗せることについて考え始めるのです。

ある物語やキャラクターが私に語りかける理由は、彼らの性格、テーマ、問題などが、私自身の考えと常にある種の内的なつながりを持っていることにあります。しかし彼らをミュージカルの創作に使うことを考えるのは、そのキャラクターが歌うところを私が想像できる場合に限ります。全ての物語がミュージカル化できるとは限りません。ミュージカル的表現を求めてくる、見えない第2のレベルを持っていることが必要なのです。

質問5:Tanz der Vampireは映画版と異なり、悲劇的なニュアンスを与えられていますが、どうやってそこに行き着いたのですか? Graf von Krolock(クロロック伯爵)は舞台版では悲しい人物像となっていますが、どうしてそうなったのですか? またそれに関連して、”Die unstillbare Gier”(癒せぬ渇き)へのインスピレーションは、何処で得たのでしょう?

MK:映画版のTanz der Vampireは、まず第一には吸血鬼映画というジャンルのパロディーです。私にとっての課題は、映画版の本質的な要素を含んだ舞台向けの翻案を作り出すことでした。それを達成するために、物語の外見は残しつつも、内面的な話の流れを新たに付け加えたのです。この内面的な話というのは、Alfredの成長物語です。彼こそが私にとっての主要人物です。彼の見方を通して私は物事を見ています。彼の目には、大人の世界は危険でいかがわしく残酷な、しかし魅力的な吸血鬼の世界として見えているのです。

この禁じられた大人の世界が持つ危険よりも、誘惑の方に目が向いているSarahへのAlfredの愛は、彼を大人の世界との対決に向かわせます。Krolockは人生経験豊富な年上の友人で、全ての禁じられたことを行ったり、欲するに値するように見せかけることが出来ます。彼はAlfredに感銘を与えます。しかしながら我々は、常に戒めてくる「教師」よりも、許されないことをそそのかす「教師」の言うことに、より耳を傾けたくなるものです。Krolockは大人そのもの、現代の大人そのものなのです。現代の成功した人物の典型なのです。彼の本質的特徴は渇きであり、性格的特徴はエゴイズムです。彼の問題、あるいは不幸というのは、永遠に満たされないことなのです。

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