Der Graf von Monte Christoの舞台の流れを、パンフレットの曲順に沿ってご紹介します。CDをお持ちの方は、どんな場面で歌われているのか参考にしてみて下さい。まずは第1幕前半から。
Prolog – Fiat justitia(プロローグ 正義は行われよ:Ensemble)
冒頭は紗幕に揺れる帆船が映し出され、その奥に高く組まれた木組みのセット上の甲板に立つEdmond Dantès(Thomas Borchert)の姿が見えます。Edmondの側に来た船長が突然倒れ、Edmondや他の船員達に抱えられて奥に消えます。続いてCDの1曲目に当たる荘厳なコーラスと女声ソロ。歌詞はラテン語の成句に由来しています。
Fiat iustitia, et pereat mundus
Fiat justitia ruat caelum
Facilis descensus Averno
たとえ世界は滅ぶとも正義は行われよ
天が崩壊しようとも正義を追い求めよ
地獄への道はたやすい
木組みのセットが左右に分かれ、舞台の奥からまぶしい光が客席に向かって差し込んできます。その前にたたずむシルエットは、Edmondの運命を変えるきっかけとなったNapoleonでしょうか? 壮大な叙事詩の幕開けという感じで、非常に期待を持たせてくれるプロローグです。
船を下りた船長は、別れ際にEdmondに手紙を託します。
Ein Leben lang(生ある限り:Edmond、Mercédès)
マルセイユ港に戻ったEdmondを、婚約者のMercédès(Sophie Berner)が迎えます。船長への昇格が決まったことを告げ、未来の花嫁を抱き上げてくるくる回るEdmond。「もうすぐ結婚できるのね!」とラブラブモード全開の二人。Thomas Borchertがやや若作りな印象ですが、笑顔がなかなか可愛いです。そんな二人を横目に見ながら、陰謀を巡らすDanglars(Karim Khawatmi)とFernand Mondego(Carsten Lepper)。Danglarsは仕事上の理由から、Mondegoは美しいMercédèsを狙って、Edmondを追い落とす算段を考えます。Mondego役のCarsten Lepperは、わりとかっちりした身なりです。EssenのElisabethでLucheniをやっていた頃より、ちょっとふっくらしていました。DanglarsのKarim Khawatmiは、小汚い悪党っぽい感じ。
Hebt das Glas(グラスを上げろ:Ensemble)
EdmondとMercédèsの婚約パーティー。テーブルに着き、Edmondの父親や船員仲間達に祝福される二人に、花冠を被せるMondego。何も知らないEdmondは、留守中Mercédèsのことを頼むと笑いながらMondegoに言います。ダンスも始まり、宴が最高潮に達したとき、突然警察官達が踏み込んできます。「きっと騒ぎすぎて隣から苦情が来たんだな」と言うEdmondに突きつけられた逮捕状。「息子は善良な人間です!」と警官に向かって潔白を主張するEdmondの父親。当のEdmondは、何かの間違いだから自分が戻るまで飲んでいてくれと言い残し、Mercédèsの手に触れることなく警官達と去っていきます。
当時流刑の身にあったNapoleonが陰謀を企てている証拠となる手紙を運んだ嫌疑で、判事Villefort(Christoph Goetten)の館に連行されたEdmondは、取り調べの末、無実であると判事を納得させることが出来ました。しかし無罪放免を言い渡されたEdmondの背後から、Villefortが最後に投げた質問「手紙の受取人の名は?」が、彼の運命を大きく変えます。無邪気な笑顔のEdmondの口から出たのは、Villefortの父親の名前でした。身の破滅を感じたVillefortは、その瞬間Edmondを監獄送りにするよう、部下に命じます。
Geschichte(歴史:Mondego、Danglars、Villefort)
Edmondを陥れた3人の男達は、自分達が行ったことは秘密にしておこうと口裏を合わせます。「誰も何が起こったかは分からない。歴史は戦場での勝者が記すもの」と暗い勝利に酔いしれます。Edmondが運んだ手紙は、炎と共にこの世から消されます。
Niemals allein(決して一人ではない:Edmond、Mercédès)
マルセイユ沖の監獄島シャトー・ディフに送られたEdmond。両腕を鎖につながれて鞭打たれ、胸に焼き印を押され、ボロボロの姿で独房に放り込まれます。天井近くにある小窓から星を見上げながら、Mercédèsを思うEdmond。舞台の上手には祈祷用の椅子に向かって跪き、背もたれ上部のクッション部分に肘をついて、Edmondの無事を祈るMercédèsの姿があります。同じ星を眺めながらお互いを思い、朝が来れば再び会えるはずと願います。感動的なデュエット。
Jeder Tag ein kleiner Tod(毎日少しずつの死:Edmond、Mercédès、Mondego)
一日、一月、一年と時間は流れていきます。夜明けと日没の繰り返しを、壁に線を刻んで数えるだけの日々。毎日少しずつ死を迎えていると、絶望のどん底で悲しげに歌うEdmond。一方舞台の下手では、椅子に腰掛け、ひたすらEdmondの帰りを待つMercédèsと、彼女を振り向かせようと花束を持ってきたMondegoのやりとりが繰り広げられます。最初はEdmondが戻ってくることを信じている振りをしていたMondegoは、いつまで経ってもEdmondを忘れられないMercédèsに業を煮やし、遂にEdmondは事故で死んだと嘘をつきます。
Part 2に続きます。
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