Michael Kunze(ストーリー、歌詞)とDieter Falk(音楽)のコンビによる”Die 10 Gebote“(十戒)が、ミュージカル的な性格を持つ合唱プロジェクトとして、2010年1月17日にドイツ・Dortmund(ドルトムント)のWestfalenhallenにて初演されます(1月16日にプレビュー公演あり、初日チケットは完売)。2500人の合唱団と弦楽オーケストラ、バンド及び数名のソリストによるこの”Pop-Oratorium”(ポップオラトリウム)は、旧約聖書のイスラエル人とモーゼのエジプト脱出行と、モーゼがシナイ山で神から10個の戒律(十戒)を授かる物語をベースにしています。チャールトン・ヘストン主演の映画「十戒」(1956)をご存じの方もいらっしゃるでしょう。
キャストは以下の通りです。
Moses: Michael Eisenburger
Zipporah: Bahar Kizil
Aaron: Frank Logemann
Naroch: Jonathan Agar
Pharao: Stefan Poslovski
Stimme Gottes(神の声): Otto Sander
Paul Falk – Erzähler(語り手、男の子): Paul Falk
Yosefine Buohler – Erzählerin(語り手、女の子): Yosefine/Yoyo Buohler
MusicalClub24に、Kunze御大のインタビュー記事が載っています。この作品は、音楽のDieter FalkがDie Creative Kircheの依頼を受けて、Kunze御大に作詞を依頼したそうです。執筆に当たっては、特にルターの訳をオリジナルの形で使っています。正直で真面目、そして直接的な存在である子供が語り手には相応しいということで、二人の子供が物語の進行役となっています(男の子の方は作曲家自身の息子です)。これまでKunze御大が手がけてきた、場面転換を伴う形のミュージカルではありませんが、物語は歌によって綴られていきます。
物語の内容は、イスラエルの民が自由を求めてのエジプトから脱出するというものですが、自由は十戒を守ることでしか得られないという二律背反があります。自由と責任は一つのメダルの裏表を成しているというのが、十戒の物語から得られる教訓だと、Kunze御大は考えています。ルター訳に基づいたMosesの人物像は、コントロールを失いやすい行動型人間、何事も強制は出来ないこと、特に自由は外見上のものではないということを学ばなければならない人間として描かれています。Kunze御大の物語の中では、Mosesの妻Zipporahの方が、物語に女性の考えを持ち込み、Mosesに正しい方向を示唆する存在として、より重要に扱われているそうです。なお神は姿を見せないものとして、Elisabethの審判の声と同じく、録音での登場になります。
YouTubeで”Die 10 Gebote”の練習風景が公開されています。Zipporah役のBahar Kizilはムスリムだそうですが、学校でプロテスタントの授業を受けたことがあり、この役へのオファーも喜んで受けたそうです。巨大な合唱団とオーケストラは、正指揮者と二人の副指揮者によって指揮されるとか。非常に広い円形会場の映像も登場し、壮大なプロジェクトであることを伺わせます。
CDやピアノ譜、コーラス譜も発売されています。
なお2011年初頭から2012年初頭にかけて、Hannover(ハノーバー)、 Frankfurt(フランクフルト)、 Stuttgart(シュトットガルト)、 Nürnberg (ニュルンベルク)及びRuhrgebiet(ルール地方)での再演も予定されているそうです。
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