2013年1月の旅の途中で簡単なレポートをアップしたUwe KrögerとPia Douwesの舞台生活25周年を記念したコンサートツアー”Die größten Musical Hits mit Uwe Kröger & Pia Douwes”。2013年1月15日のドイツ・Essen(エッセン)及び翌16日のBerlin(ベルリン)公演を観てきました。プログラムから曲目を改めてご紹介します。なおプログラムの表紙タイトルは”Die große Gala zum 25. Bühnenjubiläum – Uwe Kröger & Pia Douwes”となっていました。
Die große Gala zum 25. Bühnenjubiläum – Uwe Kröger & Pia Douwes
Teil 1
01 Ouverture: Band, gudrun
02 Willkommen (Cabaret): Uwe Kröger
03 Cabaret (Cabaret): Pia Douwes
04 Nobody’s side (Chess): Pia Douwes, Uwe Kröger, gudrun
05 Stern (Les Misérables): Uwe Kröger
06 Ich hab geträumt vor langer Zeit (Les Misérables): Pia Douwes
07 Oh Herr! (3 Musketiere): Uwe Kröger, gudrun
08 Milady ist zurück (3 Musketiere): Pia Douwes
09 gudrun∞ – A cappella im 21sten Jahrhundert
10 Totale Finsternis (Tanz der Vampire): Pia Douwes, Uwe Kröger, gudrun
11 Nosferatu (Dracula): Uwe Kröger, gudrun
12 Rebecca (Rebecca): Pia Douwes, gudrun
13 Musik der Nacht (Das Phantom der Oper): Uwe Kröger
14 Das Phantom der Oper (Das Phantom der Oper): Pia Douwes, Uwe Kröger, gudrun
Teil 2
15 Ouverture: Band, gudrun
16 Solo: Uwe Kröger
17 All that Jazz (Chicago): Pia Douwes, gudrun
18 Sunset Boulevard (Sunset Boulevard): Uwe Kröger
19 Nur ein Blick (Sunset Boulevard): Pia Douwes
20 Edelweiss (The Sound of Music): Uwe Kröger, Pia Douwes, gudrun
21 gudrun∞ – A cappella im 21sten Jahrhundert
22 Der letzte Tanz (Elisabeth): Uwe Kröger, gudrun
23 Ich gehör nur mir (Elisabeth): Pia Douwes
24 Wenn ich tanzen will (Elisabeth): Pia Douwes, Uwe Kröger
アンコール
The time of my life (Dirty Dancing): Pia Douwes, Uwe Kröger, gudrun
Der Schleier fällt (Elisabeth): Pia Douwes, Uwe Kröger
パンフレットには具体的な曲目が書かれていなかった9曲目は、男女4人組のアカペラコーラスグループgudrunによる”Seasons of love” (Rent)、16曲目のUweのソロは007の最新作”Skyfall”の主題歌、21曲目はgudrunによる”Jesus Christ Superstar”をメインにかなりアレンジしたナンバーでした。演奏はDie Herwig Gratzer Band。メンバーは8名でした。
Essenの会場はColosseum Theater。かつてUweとPiaが”Elisabeth”ドイツ初演を行った場所です。Uweはここで”Das Phantom der Oper”(オペラ座の怪人)にも出演しています。
Berlinの会場はFriedrichstadt-Palast。今は亡き新宿コマ劇場を彷彿とさせる円形舞台でした。
冒頭はバンドによる様々なミュージカル曲のメドレー。”Evita”や”Jesus Christ Superstar”等、今回二人が歌わなかった作品のメロディーも含まれていました。初日はわくわく感を楽しむために、事前にパンフレットは見ずに臨みました。Uweは客席から登場。Essenでは最初マイクが入らず、スタッフが慌てて駆け寄っていましたが、Uweは落ち着いたもので、赤いジャケットにジーンズ姿でマイクを片手に”Willkommen, bienvenue, welcome!”と歌いつつ、時に観客に絡んでいました。Berlin公演では何と通路際に座っていた私の前で立ち止まり、手を取ってワンフレーズ歌ってくれました! 歌っている間中、目がばっちり合ってしまい、心臓がバクバクしてしまいました! Uweの手、ひんやりしていて柔らかかったです。
“Willkommen”を歌い終えたUweがステージを去るのと入れ替わりに登場したのは、朱色のロングドレス姿のPia。”Cabaret”を余裕の笑みと声量で聴かせてくれました! 二人の最初の衣装は、パンフレットの裏表紙の写真と同じでした。パンフレットは7EUR。二人がお互いに宛てた手紙形式のメッセージや経歴紹介、今までの出演作の舞台写真、コンサートの曲目やバンドメンバー紹介、そしてミュージカルの魅力と歴史についての二つのコラムが載っていました。
“Nobody’s side”ではUweは赤の革ジャン、Piaは同じ素材と色のベストに黒のTシャツとパンツで、最初のドレッシーさとは全く逆の雰囲気。この”Chess”の名曲は、コンサートシリーズ”Still in Love with Musical”で二人が歌っていたもので、同名のCDに収録されています。何度もCDで聴いた曲をこうしてライブで聴くことが出来るとは! まさに二人の歴史を辿っている実感が早くも湧いてきました。
Uweが衣装替えのために一旦退場した後、二人のなれそめを語るPia。二人が知り合ったのはWien、当時Uweは”Les Misérables”、Piaは”Cats”に出演しており、その後オランダのレミゼでFantineとダンスキャプテンとして共演しました。Uweはこの公演のためにオランダ語を学んだそうです。この後二人は”Elisabeth”でElisabethとDer Todとして大ブレイクを遂げたわけです。映画版”Les Misérables”がゴールデングローブ賞3部門(主演男優賞、助演女優賞、コメディー・ミュージカル部門作品賞)を受賞したことは、Essen公演でPiaが紹介した時に知りました。ドイツでは2013年2月公開のため、観客の大多数は未見だったはずですが、Piaは既に何処かで見たそうで、とても良かったと言っていました。レミゼの思い出話の流れの中で、「私、用を足すのが上手かったのよ!」と観客に背を向けて、やおら仁王立ちになり、用を足す演技を披露したPiaにはびっくりさせられました! ぶるっとお尻を振るわせて「うまいもんでしょ?」と得意げなPia様(笑)。勿論観客席は大盛り上がり! トークの最後に”Stern”(星よ)と”Ich hab geträumt vor langer Zeit”(夢やぶれて)の曲紹介を行ってPiaが去ると、襟元にボリュームたっぷりのファーが付いたコートを着たUweが登場し、Javertの名曲を熱唱。途中で膝をつき十字を切る姿に、Berlinで見た舞台を思い出しました。Uweの出番の間、Piaは紫のロングドレスに衣装チェンジ。二人のコンサートと言いつつも、交互に登場する場面が多いコンサートでした。
Uweの”Oh Herr!”は初めて生で聴きました! ”3 Musketiere”(三銃士)上演当時、どうしても都合が合わず、UweのRichelieuを見ることが出来なかったので、個人的にとても嬉しい選曲でした。この曲の衣装はレミゼと同じファー付きコートの中に、赤いTシャツでした。続いて左はドレープ状の長袖、右は肩を出したアシンメトリーなデザインの紫のミニドレスで現れたPiaの”Milady ist zurück”。フランスに戻ってきたMiladyの誇らしげな感情を、舞台を自在に歩き回って歌い上げるPiaの姿はもう圧巻の一言!! 格好良すぎです!!! Piaが出演したオランダ版の舞台はDVD化されており、見たことはありましたが、やっぱりドイツ語で歌ってくれたのが嬉しかったです!
gudrunのコーラス”Seasons of love”終了後は、UweとPiaのデュエットで”Totale Finsternis”。歌のラストでは、UweがPiaの首筋に長々と口づけしていました(笑)。二人とも”Tanz der Vampire”には出演していませんが、この歌を取り上げたということは、よほど歌いたかったのでしょう。UweがGraf von Krolockをやりたがっていたという噂を聞いたことがありますが、同じ吸血鬼物でも彼が演じたのは吸血鬼ではなくハンターの方、”Dracula”のVan Helsingでした。”Dracula”もやはり都合が合わず見ることが叶わなかった作品。Uweが歌う”Nosferatu”は、ねっとりと夜の闇を思わせる雰囲気たっぷりでした!
今度は黒のロングドレスでPiaが登場。”Rebecca”を歌い上げました。”Ich”(わたし)のパートはgudrunの女性メンバーが担当していました。元々Mrs. Danversの役はPiaが演じるはずだったのですが、Wienでの上演が決まった時に運悪くオランダでの出演契約が残っていたために参加することが出来ず、Piaの出演はStuttgart(シュトゥットガルト)公演でようやく実現したのでした。つい先日まで演じていた役だけあって、ファンの熱狂ぶりも格別でした。”Ich”のパートのラストの音が上がりきらなかったのがちょっと残念でしたが、Pia様はさすがの貫禄でした。
続いての”Das Phantom der Oper”(オペラ座の怪人)では、まずUweが”Musik der Nacht”をソロで歌い、途中からメインテーマの”Das Phantom der Oper”のメロディーが流れ、Piaが加わりました。Piaの高音が凄かったです! Uweは高音や長く伸ばす音が狂わないよう、少し慎重に歌っている印象がありましたが、全体的な出来は良かったです。ここまでで第1部終了。「え、もうおしまい!?」と思ってしまうくらい、あっという間でした。時間的にも丁度1時間ほどで、ミュージカルの1幕分よりは短い分量でしたが、どの曲も聴き応えがある内容でした。
休憩を挟んで始まった第2部のオープニングは”Chicago”のインスト、続いて黒のスーツに蝶ネクタイ姿で現れたUweが歌い始めた曲は知らないメロディーでしたが、サビに繰り返し出てくる”Skyfall”から、先日公開された007シリーズ最新作の主題歌だと分かりました。2004年の来日時にも007ナンバーを歌っていたUwe、気分はすっかりJames Bond。Piaの”All that Jazz”を挟み、”Sunset Boulevard”のイントロが流れると、「待ってました!」と言いたくなりました! 残念ながら舞台は観ていませんが、”Sunset Boulevard”のCDは私のコレクションの中でも最も古い1枚で、それこそ何度も何度も聞き込んだ思い出のメロディー。この曲をUweの生歌で聴いたのは初めてかもしれません。ドイツの友人は学生だった当時、30回も劇場に通ったそう! Piaも”Sunset Boulevard”から”Nur ein Blick”を熱唱。彼女はオランダのツアー公演でNorma Desmondを演じたことがあります。是非この曲をPiaで聴いてみたいと思っていた夢が、このコンサートで叶いました!
シリアスな歌が続いた後、半袖に革製半ズボンの民族衣装姿でヨーデルを歌いながら登場したUweに会場の空気は一変(笑)。Salzburg(ザルツブルク)で出演中の”The Sound of Music”について、ひとしきり語りました。”The Sound of Music”は米国と日本では大変有名な物語だけれども、ドイツやオーストリアでは意外と知られていないそう。Uweとしてはこの話はドイツ語圏では過小評価されているのが残念、もっと知られるべきだと考えているそうです。映画のラストでトラップ一家が国境を越えてスイスに亡命することについて、「米国人はザルツブルクの隣にスイスがあると思っているようだけど」と突っ込むUweに観客大受け(笑)。NY市長のジュリアーニ氏がオーストリア大使を招いた際、”Edelweiss”(エーデルワイス)を聴かせ、「綺麗なメロディーだけど知らない曲だなあ」と思っていたオーストリア大使に、「お国の歌ですよ!」と得意げにしていたという逸話には、更なる爆笑が巻き起こっていました(笑)。ユーモアたっぷりのトークに続き、”The Sound of Music”出演のために練習したというギターを手に、”Edelweiss”を披露してくれたUwe。歌の途中、白いパフスリーブのブラウスに黒の胴衣、ピンクのエプロンに緑のスカートという民族衣装Dirndlを着たPiaがハモリながら登場! これには観客もびっくり!! こんな可愛らしく甘々な姿のPiaを見ることは後にも先にもないでしょう(笑)。お母さんから借りたそうですが、Piaのお母さんもスタイル抜群だったのでしょうか!?
バンドメンバーとgudrunの紹介後、UweとPiaの二人は退場。gudrunのポップな”Jesus Christ Superstar”で盛り上がった後、いよいよ”Elisabeth”シークエンスが始まりました。白っぽいグレーのロング丈のコートと同系統の色のパンツに身を包んだUweの”Der letzte Tanz”も大いに観客を沸かせましたが、やはりシルバーのロングドレス姿のPiaが歌い上げた”Ich gehör nur mir”は特別でした! 最後の音をオリジナルより更に一段高く上げるのは、オランダ版からのPiaオリジナル。彼女の音域の広さは驚異的です! コンサートの途中だというのにスタンディングオベーションが起こり、もうひゅーひゅーの嵐! そしてドイツ初演に際し、PiaとUweのために書かれた新曲”Wenn ich tanzen will”での二人の迫力に、最早観客の心は鷲掴み! 二人を讃える歓声と拍手が、永遠に続くかのように思われました。そしてUweからPiaに赤い薔薇と白い花の花束のプレゼント。UweがPiaの前で片膝をつき、花束を捧げると、Uweが何も言っていないのに大声で”JA, JA!!!”と高らかに承諾するPia! 二人の絆の強さを会場の誰もが感じる素敵な瞬間でした。翌日のBerlin公演でもUweは花を持って来たのですが、何と前日と同じ花束、しかも白い花は駄目になったらしく、赤い薔薇が数本だけになっていました。花束を渡そうとするUweに鋭い一瞥をくれたPiaが「ちょっと待ちなさい」とあごをしゃくり、勢いよく床を指さしてUweに「跪いて!」と命令(笑)。女王様のお言葉に大人しく従い、前日と同じく跪いたUweが少々しょぼくなった赤い薔薇の花束をPiaの眼前に掲げると、途端にPiaは破顔一笑、”JA!!!”と大はしゃぎでUweの求愛(?)を受け入れたのでした(笑)。
アンコールは”Dirty Dancing”から”The time of my life”をUwe、Pia、gudrun及びバンドのメンバー全員で。更に鳴り止まぬ拍手の合間を縫って聞こえてきたメロディーは、”Der Schleier fällt”! ”Elisabeth”のエンディングをUweとPiaのコンビで見ることが出来るとは、まさにファン冥利につきる素晴らしいコンサートのフィナーレでした! Essenではお姫様抱っこは曲の途中に入り、一旦舞台の奥の方まで下がったUweが、Piaを下ろす舞台裏までを見せていました。Essenでは最後は舞台中央のドラムセットを挟んで二人が左右に分かれて終わりましたが、BerlinではPiaを抱えたUweが観客に背を向け立ち去る、舞台さながらの演出でした。Uweに抱きかかえられたPiaは、いかにも事切れましたという感じでわざとらしくがくっと頭を後ろにのけぞらせ、腕をだらりと下げる茶目っ気を見せていました(笑)。
Berlin公演の最後はあまりにも熱烈なファンからのラブコールに応え、最後にもう一度”The time of my life”が披露されました。ほぼ満席だったEssenに比べ、後方サイドには空席が目立っていたBerlin公演でしたが、盛り上がりはこちらの方が上でした。ただ上演中は撮影禁止と書かれていたにもかかわらず、どう見ても一般人らしいファンが最前列でバシバシ写真を撮っていたのにはびっくりしました。
ファッションショーのように頻繁にあった衣装替え、提供はUweが宣伝役をしているLA発のファッションブランドMondrean。Berlin公演ではUweからオーナーのAndrea Bocan女史が会場に来ているとの紹介がありました。また曲の途中で落としたイヤリングを拾い上げたPiaが、衣装毎にそれに合わせたアクセサリーを提供してくれたJuvelan(Piaがイメージキャラクターを務めているアクセサリーブランド)に謝意を述べる一方、落としたことは良い宣伝ではないけれどと苦笑していました(笑)。
Essen、Berlin両公演とも、終演後にロビーでPiaとUweのサイン会が行われました。特に告知はなかったですが、今後のコンサートでもロビーで待っていれば二人が登場する確率大だと思います。Essenはバスや車で遠方から来た客が多かったのか、ロビーに残っている人はそれほど多くはなかったですが、Berlinでは二人の前に長蛇の列が出来ていました。ファンから大きな板チョコを貰ったPiaが、「糖分が必要だわ!」と早速開けようとしつつも苦戦し、スタッフに包み紙を破って貰ったチョコを手にすると、勢いよくワイルドにバリッと噛み切ったのが印象的でした(笑)。サインはプログラムやグッズ、自分で持って来た写真等、何処にでもOK。更に二人の写真入りポストカードも無料で用意されていました。予め二人がサインしたカードも沢山ありました。前日のEssenでサイン済みのカードが大分なくなっていたので、きっと公演の合間を縫ってサインをしたのでしょう。ビッグになってもファンへの暖かい心遣いを忘れないPiaとUweの姿勢に感激です!
「Piaの方が自分より4ヶ月年上だけど、年齢は言わないでおくよ」と言ったり、冠詞を間違えたPiaに「オランダ人だからしょうがないよ」とわざとらしく慰めたり、軽口のオンパレードのUweと、彼の突っ込みに軽妙にやり返すPiaは、本当に素晴らしく息が合っていて、ミュージカル界きっての親友コンビだと改めて思わされました。30周年、40周年、もしかすると100周年(!?)も一緒に祝おうかという勢いの二人が、これからも共に活躍する機会が続くことを心から願っています!
spaさん、詳細にわたるご報告、ありがとうございました!
「いいなぁ」の一言ですが、読んでいて
少しだけ場の雰囲気を感じることができました。
5月のWienでの二人のコンサートに行けないのが、
本当に残念!仕事を辞めないと無理ですねぇ。
Uweの来日はどうなったのでしょうか?
来られるなら、何とかして行きたいです。
Märzさん、お読み下さりありがとうございます。書き始めたらなかなか終わらなくて、かなり長文になってしまいました。5月のコンサート、GW直後は日本人にとっては厳しい日程ですよね。秋以降も計画してくれるといいのですが。
Uweの来日、今出ているシアターガイド2013年3月号掲載のインタビューでも来日を匂わせる発言をしていたそうですが、公式には何も発表されていませんし、UweもFacebookでは来日関係の話は全くしていないので、進んでいるのか立ち消えなのか、全く謎です。是非Piaと二人で来て貰いたいものですが、thatsMusicalにPiaの夏以降の出演作の噂が紹介されていたので、恐らくPiaの来日はないと思われます。