2013年2月23日、スイス・St. Gallen（ザンクト・ガレン）のTheater St. Gallenで、Michael Kunze御大の新作ミュージカル”Moses – Die 10 Gebote“が初日を迎えました。今回Kunze御大がペアを組んだ作曲家はDieter Falk。2010年に合唱プロジェクト”Die 10 Gebote”（十戒）としてドイツ・Dortmund(ドルトムント)で初演された作品を、ミュージカルとして新たに作り直した形になります。
Theater St. Gallenはドイツ語圏ミュージカルの主要劇場の一つで、自主制作にかなり力を入れていることで知られています。Frank Wildhornの”Der Graf von Monte Christo”（モンテ・クリスト伯）もここTheater St. Gallenで世界初演を迎えました。またKunze/Levay作品の”Rebecca”もMaya HakvoortをMrs. Danversに迎えて上演されています。
“Moses – Die 10 Gebote”にも豪華キャストが集結しています。筆頭は何と言ってもThomas Borchert。”Der Graf von Monte Christo”、”Rebecca”に続いての出演です。またSophie Berner、Kerstin IbaldもTheater St. Gallenの常連です。Aaron役には当初”Elisabeth”初代RudolfのAndreas Bieberがキャスティングされていましたが、稽古中に突然降板してしまいました。代わりを務めるのはTecklenburg版”Marie Antoinette”でLouis XVI.(ルイ16世)を演じていたFrank Winkelsです。
キャスト
Moses: Lukas Hobi
Ziporah: Sophie Berner
Aaron: Frank Winkels
Ramses: Stefan Poslovski
Hotcheb: Kerstin Ibald
Naroch: Thomas Borchert
Miriam/Ensemble: Sophia Gorgi
Pyron/Ensemble: Patricia Meeden
Sethos/Jethro: Andreas Kammerzelt
Haremhab: Siegmar Tonk
Ensemble: Natalya Bogdanis, Ilse La Monaca, Rachel Marshall, Heidy Suter, Simon Eichenberger, Stefan Stara, Robert Johannsson, Sebastian Smulders
“Moses – Die 10 Gebote”は今のところ2013年6月8日までの上演が予定されています。なお2013年5月9日～11日の3日間は、”Rebecca”、”Moses – Die 10 Gebote”、”Chicago”を3夜連続で観劇出来る貴重な機会です。
ドイツの友人が初日に行ったので感想を聞いたところ、キャストは素晴らしく、特にRamses役のStefan Poslovski（Tecklenburg版”3 Musketiere”のJames/Conferencier役）、Hotcheb役のKerstin Ibald（Stuttgart及びSt. Gallen版”Rebecca”のBeatrice役）が良かったそう。音楽には特段言及するほどの重要性はなく、歌詞はオラトリウムの時よりは改善されていたけれども、作品自体は退屈だったとなかなか辛口な意見でした。同じく聖書を題材にした”Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat”は単純に楽しめる娯楽作品、”Jesus Christ Superstar”はJesusが抱える人間としての苦しみと弱さをテーマにしているように、味付けで見せることは出来るものの、物語自体は良く知られている内容なので、手に汗握るような展開は期待出来ないとのことでした。比較に上がった2作品はいわばミュージカルの古典で日本でも上演されていますが、今のように様々なミュージカルがある中では、”Moses – Die 10 Gebote”は題材的に日本での上演はないかなと個人的には思っています。フランス版来日公演『十戒』も集客に苦労したと聞いています。
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