2014年4月の旅、大分間が空いてしまいましたが、最後はオーストリア・Innsbruck(インスブルック)でのコンサート”4 Voices of Musical”のレポートです。出演はMaya Hakvoort、Mark Seibert、Marjan Shaki及びLukas Perman。
会場のCongress Innsbruckは見本市や会議等のイベントに使われる多目的ホール。
夕方下見に行ったところ、出入り自由だったので、準備中の会場ロビーを探検してきました。
冷蔵ケースには出演者4人の顔写真入りプロセッコの缶が。一つ3 EURでした。
既にサイン会の準備がされていました。
一旦ホテルに戻った後、改めて会場へ。かなり雨が降っていましたが、当日券を買い求める人の姿も見られました。地元テレビの企画で招待チケットに当選した観客2組が、開演前にロビーでインタビューを受けていました。当選者達は、幕間に出演者達と会える特典付き。会場はフラットな床に椅子を並べたレイアウト。天井が高いホールでした。開演は19:30。
West Side Story: Medley
Maya Hakvoort, Mark Seibert, Marjan Shaki, Lukas Perman
イントロのバンド演奏に続いてMarjanとLukasの”Somewhere”、MayaさんとMarkのデュエットによる”Something’s Coming”から始まった”West Side Story”メドレー。”Something’s Coming”はYngve Gasoy-Romdalのソロアルバム”Listen to my song”の1曲目で、Yngveの声で聞き慣れていたので、Mayaさんの女声が大変新鮮でした。”Tonight”や”America”といったミュージカルファンの枠を超えて親しまれているナンバーが流れ、会場は早くも盛り上がりました。
Mayaさんによる挨拶とバンド紹介に続いて、いよいよ本編の始まりです。
Sunset Boulevard: As if we never said goodbye
Maya Hakvoort
今夏ドイツ・Tecklenburg(テクレンブルク)でMayaさんが演じる”Sunset Boulevard”のNorma Desmondのナンバー。Tecklenburgはドイツ語上演ですが、何故か英語で披露されていました。もうこの一曲を聴いただけで、Tecklenburgに飛んでいきたくなりました! Mayaさんの歌の何とドラマティックなこと!!
Starlight Express: Starlight Express
Mark Seibert
“Starlight Express”といえば、ドイツ語圏ミュージカルの世界に入った頃に、Uwe Krögerの歌声で何度も繰り返し聞き込んだ懐かしい曲。これを新世代のDer Todを演じたMarkで聞くとは、感慨深い物がありました。
MOZART: Irgendwo wird immer getanzt
Marjan Shaki
ちょっとやさぐれた感じのMarjan演じるConstanze、やはりConstanzeはこういうキャラであって欲しい! 最近来日がないMarjanですが、久々に彼女の素晴らしい歌声に聞き惚れました。”Irgendwo wird immer getanzt”(ダンスはやめられない)、是非近々日本で聞かせて欲しいです。
Wie wird man seinen Schatten los
Lukas Perman
今回Lukasの選曲、本番では歌う機会がないと思われるものの、本人的に歌いたかった名曲を揃えたのかなと思いました。バックコーラスがMayaさん、Mark、Marjanと大変豪華でした。最後もしっかり高音を出してくれて満足です。
ここで少々トークタイム。Mayaさんが渋滞のため飛行機に乗り遅れ、危うく3 Voices of Musicalになるところだった(!)ことや、”Wicked – Die Hexen von Oz”のドイツ初演ににMarkがFiyero役で出演していたことが紹介されました。
Wicked – Die Hexen von Oz: Medley
Maya Hakvoort, Mark Seibert
“Wicked”は劇団四季で一度見ただけで、個人的にあまり得意な作品でないのですが、MayaさんとMarkの歌を聞いていると、ドイツ語版も見てみたかったなと思いました。
Mayaさんによるトークでは、”Les Miserables”を見てミュージカル女優の道に進みたいと思ったエピソードが披露されました。
Les Miserables: Nur für mich
Marjan Shaki
Marjanによる”On my own”。Constanzeとは真逆の切ない愛を歌い上げるMarjanにも惹きつけられました。演技の幅が広く、可愛くてダンスも上手いMarjan、彼女が大きな作品で主役を張るところを見たいです。
Dunkles Schweigen an den Tischen
Lukas Perman
来日時にはMarkとのデュエットで披露したカフェソング。JCBカード貸切公演のみのスペシャル、また再現して欲しいです。
Dirty Dancing: Time of my Life
Maya Hakvoort, Mark Seibert
Mayaさんが入りをとちって笑いを取っていました(笑)。
続いてMarkによるトークでは、Markと出演者達の馴れ初めがちらっと紹介されました。MarkとMayaさんが友人づきあいを始めたのは比較的最近だけれど、もうとても仲良くなっていること(きっと来日中に親交が深まったのでしょう!)、Marjanとは”Romeo und Julia”で親しくなり、Lukasとはウィーンの音楽大学で同級生だったことを説明していました。
Jekyll & Hyde: This is the moment
Lukas Perman
まさにLukasが歌いたかったのだろうなあと思わされる、気合いに満ち溢れた”This is the moment”でした。ラストの音もたっぷり伸ばしてくれて聴きごたえがありました。
Mädchen der Nacht
Maya Hakvoort, Marjan Shaki
MayaさんはWien(ウィーン)版”Jekyll & Hyde”にLisaとLucyの両方の役で出演していました。この歌でLucyを歌うのはMarjan。余談ですが、Mayaさんは”Jekyll & Hyde”公演中に第1子を妊娠されたのですが、出産前の最終公演の日にWien入りした私はその日が最終だとは知らず、チケットを持っていなかったこともあってうっかりうたた寝してしまい、貴重な公演を見逃したのでした・・・。
We Will Rock You: I want to break free
Mark Seibert
しっとりとした女性二人のデュエットからがらっと雰囲気が変わり、Markによるロックナンバー。”We Will Rock You”はMarkが出演していたBerlin(ベルリン)公演を観たのですが、
下調べが出来ていなかったので今ひとつ話について行けず、観劇ポイントをMarkの格好良さに集中することにした思い出があります(笑)。
Joseph and the amazing technicolor dreamcoat: Wie vom Traum verführt
Lukas Perman, Vocalensemble “Girls in Jeans”
地元の音楽学校の子供達が客席から次々と舞台に上がり、Lukasを中心に横に並んで賑やかにコーラスを繰り広げました。”Joseph”はTheater an der Wienで”MOZART!”を上演していたシーズンに、Raimund Theaterでかかっていました。劇中に登場した巨大なVISAカードが懐かしいです。今夏Tecklenburgで上演されるバージョンではカードは出てくるのでしょうか?
ここで休憩。チケット当選者の皆さんは、出演者達とスパークリングワインとトークのひとときを楽しんでいたようです。しかしMayaさん達もこれからまだ歌うというのに乾杯とは、自由というか余裕というか。出演者全員が仲良しでリラックスした雰囲気で行われるコンサートだからこその企画でしょう。
AIDA: Mein Sinn für Stil
Maya Hakvoort
“AIDA”より王女アムネリスが歌う”My Strongest Suit”(お洒落は私の切り札)を、Mayaさんがパワフルに歌い上げました。
Einen Schritt zu weit
Maya Hakvoort, Marjan Shaki, Mark Seibert
同じく”AIDA”より”A Step Too Far”。
次にトークに登場したMarjanがMayaさんと知り合ったのは、丁度Mayaさんのお腹がかなり大きかった頃。12年後の今、Mayaさんの息子はMarjanよりも背が高くなったそう! Markとはとあるオーディションで出会い、その時Marjanは落ちてMarkは役を得たこと、またLukasとは”Romeo und Julia”で出会い、その後も歩みを共にしていることを話していました。その流れで”Romeo und Julia”の曲紹介に入ろうとしたMarjanでしたが、実は次は”Rudolf”。Lukasに待ったをかけられ、少々責められたMarjan、更にLukasに文句を言われる前に「私の最愛の人、Lukasが”Rudolf”を歌います!」とささっとまとめてすっ飛んで行きました(笑)。
Rudolf: Wie jeder andre Mann
Lukas Perman
観客爆笑の流れからシリアスな”Wie jeder andre Mann”(名もなき男)にちゃんと入っていけるLukasはさすがです。この曲も来日コンサートではお馴染み。
Romeo & Julia: Der Balkon
Marjan Shaki, Lukas Perman
改めてここで”Romeo und Julia”からバルコニーの場面。この曲を来日コンサートで聴きたかったという方も多いことでしょう。次回は是非!
Footlose: Footlose
Mark Seibert
賑やかで楽しいMarkの”Footlose”。Markのライブもこんな感じなのかなと思いました。
Flashdance: What a feeling
Marjan Shaki
パンフレットにはMarjanの名前だけが載っていましたが、Mayaさんも乱入して二人で大盛り上がり!
Rebecca: Rebecca
Maya Hakvoort, Marjan Shaki
一転して凄みのある”Rebecca”。Mayaさんはスイス・St. Gallen(ザンクト・ガレン)公演で厳格な教師を思わせるMrs. Danversを演じていました。
Tanz der Vampire: Für Sarah
Lukas Perman
Lukasの十八番ですね。”Für Sarah”と歌い上げるサビの部分は、いつ聞いても素直な愛が感じられます。
Totale Finsternis
Marjan Shaki, Mark Seibert
このメンバーだと伯爵はMark担当。オジサマ伯爵とは違った、若くて格好いい伯爵も素敵です。
CATS: Memory
Maya Hakvoort, Lukas Perman
こう来たか!と思わされたMayaさんとLukasの組み合わせでの名曲『メモリー』。
FAME: Out here on my own
Marjan Shaki
うっかりしてこの曲のメモを取っていませんでした・・・。
Elisabeth: Der letzte Tanz
Mark Seibert
コンサートの白眉はやはり”Elisabeth”。まずはMarkの『最後のダンス』。歓声から察するに、今回はMark目当てのお客さんがかなり多かったようでした。
Die Schatten werden länger
Lukas Perman, Mark Seibert
友達コンビの『闇が広がる』、息もぴったり、迫力満点です。勿論客席も大いに盛り上がりました。
Ich gehör nur mir
Maya Hakvoort
永遠の名曲『私だけに』、この曲をMayaさんの声で聞ける喜びはいつまでも変わりません。観客も待ってましたという雰囲気でした。
RENT: Seasons of Love
Maya Hakvoort, Mark Seibert, Marjan Shaki, Lukas Perman
ミュージカルコンサートのラストに相応しい”Seasons of Love”。
もう一つアンコール曲があったのですが、勉強不足で曲名が分からなかったのが残念です。
歌い手は4人だけとはいえ、次から次へと盛り沢山のプログラムが続き、3時間もの長丁場になりました。更に公演終了後はサイン会。夜も更けていくというのに、翌日が祝日だからかかなりの人数が列に並んでいました。Mayaさんを始め、4人ともまた是非来日したいと言ってくれましたが、今のところまだ来日公演のオファーがないとのことでした。その代わりというか、突然Mayaさんが「”Elisabeth”の上海公演があるのよ、でも私達のバージョンではないけれどね」と仰ってびっくり! どうも2015年のドイツツアー公演版が海外公演を行うらしいようなお話でした。その後Kunze御大のブログでも2014年12月に上海で限定公演が始まるとの紹介がありました。上海万博の際にMayaさんとMáté Kamarásがオーストリア館のイベントに出演したのも、今思えば中国公演に向けての布石だったのかもしれません。そんなサプライズニュースを聞きつつ、こちらからも一つサプライズ。Markにサインを貰う際、彼が日本滞在中レモネードと間違って愛飲していたレモンチューハイを「レモネードじゃないですよ」と進呈したところ、缶を見た途端に大爆笑してくれました(笑)。
この贅沢なコンサート、いつか日本にも持って来て貰いたいです。日本の劇場関係者の皆様、是非ご検討下さい!
はじめまして、momotanと申します。
いつもブログを参考にさせていただいています。
4 Voices of Musicalのレポありがとうございます。私も5月に見に行ったのでその時のことを思い出しながら楽しく読みました。
インスブルックは個人的にとても行ってみたいところなので街の写真がうれしかったです♪
最後のアンコール曲ですが、私が見た時と同じならライオンキングのシャドウランドだと思います。実はあとで調べたので自信ないのですが…
サイン会では私も再来日希望しておきました。
日本側ではいまいち誰に伝えていいのかわかりませんが、
とりあえずアンケート書きまくろうと思います(笑)
長々と失礼しました。
今後ともよろしくお願いします♪
momotanさん、初めまして。"4 Voices of Musical"、momotanさんも行かれたのですね。アンコールの曲名を教えて下さって、ありがとうございました。言われてみればライオンキングだった気がします。有名な曲でも、普段聞いてないとピンと来ないものです。でもこうしていつものMayaさん達とはひと味違うレパートリーを聞かせて貰えるのが、コンサートの面白さですね。Innsbruckは生憎の天気でしたが、街のすぐ背後に迫った山並みの迫力には感動しました。
また旅行のお話等、聞かせて下さいね。こちらこそよろしくお願いします。
お久しぶりです。
spaさんがこのコンサートのレポートをあげてくださるのを
今か今かと待っておりました。
読ませていただいて、本当に「羨ましい!」という言葉で
表せないぐらい羨ましすぎます。
息のあった豪華なメンバーが、バラエティ豊かな選曲で
素晴らしい歌声を楽しいトークもまじえて…なんて、
本当に夢のような時間だったと思います。
"Wicked"のCDはブロードウェイ版とドイツ語版の両方を持っていますが、
Fiyero役やMarkだということに、後から気づきました。
ドイツ語版の方が気に入っています、当然!
そしてAIDAのEinen Schritt zu weitは大好きな曲なのですが、
これをMayaさん、Marjan、Markで聞けるなんて!!!!
定番の曲以外に、普段なかなか聞けそうにない曲も含まれた
盛りだくさんのコンサート、いつかは生で聴きたいです。
会場の写真がありましたが、客席数はどれぐらいでしょうか?
写真からはこじんまりした感じがしますが、舞台が近くていい感じ
なのかなと思いました。
今はCDを聴きこんだり、パンフレットを眺めたり、
そしてspaさんのブログで気分を味わったりして満足しないと
いけない状態ですが、治療を終えたらと、夢は膨らんでいます。
今は通院での治療ですが、2週間後ぐらいには再入院して
より強い治療に入っていくかと思います。
それまで、spaさんの新しい記事を楽しみにしております。
Märzさん、ご無沙汰して申し訳ありませんでした。きっとお待ち頂いているだろうなと思っていたのですが、なかなかアップする時間が取れなくて、遅くなってしまいました。全員が超一流の歌い手や演奏者で、高いクオリティーのコンサートを地方都市に持っていこうという意気込み、地元の子供達のコーラス参加やメディアとのコラボ等地域密着型の集客を行う努力、何よりお客さん達に音楽の楽しさ、ミュージカルの魅力をとことんまで伝えようとする姿勢に感銘を受けました。大劇場でのフルオーケストラとの共演とはまた違った、アットホームで楽しいイベントでした。サイン会も日本のようにグッズを買わないと参加出来ないとか、流れ作業でサインを貰うのが精一杯という忙しないものではなく、聞きに来てくれたお客さん達との触れ合いを大事にしたい、ファン一人一人の顔を見て話をしたいという出演者達の気持ちが伝わってくるひとときでした。
会場は1500席規模のホールでした。実際の席数は数えませんでしたが、かなり後方まで席が設けてあったと思います。間口が広いので開放感がある分、客席との距離が近く感じました。前方席だったので、カーテンコールでLukasと目が合ったように思ったら、去り際に会場に向かって日本語で「アリガトー!」と大きな声で叫んでいました。他にも日本からのお客さんが来ていたのかもしれません。
Märzさんの心のエネルギーになるようなレポートをお届けできるよう頑張りますので、Märzさんもどうぞお体をお大事になさって下さい。